東アジア文化交渉学会・第9回年次大会
グローバル史観と東アジアの知識移動
- [日 時] 2017年5月13日(土)、14日(日)
- [会 場] 中国北京 北京外国語大学 国際綜合楼 (100089 北京西三环北路2号)
- [予稿集原稿作成ガイドライン] 詳細はこちらをご覧ください
- [宿泊先] 詳細はこちらをご覧ください
- [大会案内PDF] 中国語 日本語 英語 韓国語 にてご覧頂けます
グローバル史観(a global perspective on the past)とは、歴史研究及び歴史叙述の新たな視点、新たな方法であり、総体的な視野及び各々の結びつきという観念によって、マクロな世界史の編纂、あるいはミクロな個別事案の考察、または民族国家を超越した視野によって国を越えた歴史現象を捉えることである。
アメリカのグローバルヒストリー研究者であるJerry H. Bentley(1949-2012)は次のように述べている。全世界が発展する総体性は、あらゆる社会に存在する普遍的な三つのプロセスの中に当てはめられる。それはつまり、人口の増加、技術の進歩及び伝播、異なる社会間で日々増加する交流である。東アジアのネットワークにおける、知識の絶え間ない移動、様々な新技術や新観念、新信仰の相互交流、そしてある社会が別の社会と相互交流するための新たな手段や新たなパターンの模索、征服と被征服、融合と共生、移民や外来者との交流など、以前は覆い隠されていたこれらのテーマは、グローバル化という時代において、東アジアが自らの文化的価値を再認識するための新たな視座を提供している。
20世紀の、中国の世界史研究者である呉于廑(1913-1993)は次のように述べた。人類社会の形態が低い階級から高い階級へと向かう縦方向の発展と、世界の各地域が相互的に閉鎖した状態から次第に開放へと向かっていく横方向の発展は、ともに世界歴史のテーマである。東アジアの横方向の発展における考察や叙述の方法論においても、グローバルヒストリーは我々に有益な示唆を与えてくれる。我々はグローバル史観をもって、東アジアの異文化間の相互交流に着目し、主に異文化間の相互影響の型式とその内容を詳細に解明する。特に相互関係を構築する過程を注視し、変化のメカニズムを提示する。グローバルヒストリーの視座より、東アジアにおける知識の移動と相互交流を理解することは、斬新な歴史構築の方式であり、相互交流の中であるからこそ、東アジア世界の変遷や知識の移動を真に理解することが可能なのである。
2017年の年次大会は北京外国語大学で開催する。本年次大会においては、グローバル史観から出発した文化交渉学の研究対象や方法、ディシプリンの超越、デジタル化の手段などについて再検討を行ない、東アジア各国の歴史を含む一国史を超越した視野を包括して、世界の変遷における相互交流理解による文化交渉学の構築を期待する。
大会の主旨は主として以下の三つの方法論を用いることで体現される。一、文化超境の視野:民族国家の枠組みを打破し、国家、地域、民族、文化、言語の超越による歴史現象を研究対象とする。
二、相互交流:相互交流のネットワークにおける関係史を重点的に研究し、相互交流から東アジア及び世界各国の歴史を理解する。すなわち異地域・異民族・異文化の人々が接触する、経済・政治・文化などの多重領域において生じた相互作用を理解する。
三、学問分野を超えた総合的な研究方法の運用:人類学・社会学・経済学・地理学ないし自然科学の方法論をも東アジア文化交渉研究の中に採り入れる。
本大会が北京外国語大学全球史研究院において開催されることは、昨今の東アジア情勢を鑑みても非常に大きな時代的意義を有する。大会では「グローバル史観」を分科会のテーマとすることで、東アジア各地の研究者に、研究方法としてのグローバル史観を提供する。我々は多くの学者の積極的なご参加ならびに東アジア文化交渉学に新たな貢献をもたらすことを願う。
みなさまのご参会、ご教示を心待ちにいたしております。
年次大会テーマ
「グローバル史観と東アジアの知識移動」
分科会テーマ
1. グローバル史観と東アジア文化交渉学
2. 東アジア及び西洋の観念の移動
3. グローバル視野における東アジア諸国の国史研究
4. 東アジアにおける近代史観の形成と展開
5. 東アジアにおける近代出版及び知識循環
6. 近代東アジアにおける新知識の伝播と旧生活方法の伝承
7. ビッグデータと近代東アジア研究
8. 知識移動における文学・歴史・哲学・翻訳
9. 新文化史・生活史と記憶研究
10. 東アジアにおける知識史研究及びその他
会議日程
到 着 2017年5月12日(金)
年次大会 2017年5月13-14日(土・日)
解 散 2017年5月15日(月)
応募日程と審査結果発表
会議形式は、基調講演、パネルセッション、個人発表、博士院生発表を予定しています。
会員の皆様は上記の分科会テーマを参考に、ご申請ください。各パネルセッションは2時間となります(発表者は4~5名、司会者1名、コメンテーター1~2名。発表者が司会者あるいはコメンテーターを兼任しても構いません)。
参加及び発表を希望される方は下記参加申請書と発表要旨(400字程度)を、2017年1月16日までにご提出ください。参加・発表の申し込みは大会準備委員会にて審査され、承認された方のみ後日、正式な招請状を送付いたします。
参加申請書 Word (docx) (中国語、日本語、英語、、韓国語)
参加費用
大会特別招待代表以外、参加者は往復交通費、宿泊費用を自己負担とします。参加費は一般会員400元、学生会員200元とします。参加費には懇親会、大会期間中の昼食、予稿集などの費用を含んでおります。参加費は現地にて、人民元(外貨及びクレジットカード不可)でお支払い下さい。
参加・発表申請先: 大会準備委員 (sciea2017@outlook.com)
東アジア文化交渉学会第9回年次大会準備委員会
主 任 李 雪涛 (副会長 北京外国語大学 教授)
副主任 内田 慶市 (会長 関西大学外国語学部 教授)
鄭 培凱 (評議員 香港城市大学 教授)
藤田 高夫 (評議員 関西大学文学部 教授)
陶 徳民 (評議員 関西大学文学部 教授)
中谷 伸生 (関西大学文学部 教授)
吾妻 重二 (関西大学文学部 教授)
事務局:
沈 国威 (学会事務局長 関西大学外国語学部 教授)
馬 春玲 (北京外国語大学 全球史研究院事務室)